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金木犀
第6章 それぞれの思い
「…っ!?」
驚いた表情を浮かべる愛歩の兄貴を見て続ける。
「最初は、誰も聞いてくれませんでした。
そりゃあそうですよね、
所詮他人事で、自分は関係ないから。
愛歩の事をよく思ってない女もいたらしく、
殴ってやりたい位の暴言を吐いた女もいました。
それでも説得し続けて、…最近なんです。
最近…やっと、耳を傾けてくれ始めて、
教室の、学校の雰囲気が変わり始めています」
「…っ、なあ…作り話なんていらねぇんだよ!!」
「作り話なんかじゃない、本当ですっ!
何なら証明してもいい、結衣呼びますか!?」
「だってお前そんな事する性格じゃねぇだろ!!」
「俺は変わったんです!愛歩と出会って、
あの事件があってっ…変わったんですっ!」
遂に、俺の目から涙が溢れた。
「あなたは、俺の…っ俺の何を知ってるんですか。
俺は何を根拠に疑われて、何を根拠に
毎日殴られなければいけないんですか。
毎日毎日死ぬ程辛い思いでここに来て、拒絶されて…
その癖言葉より行動に表わせって…
あなたは俺をどうしたいんですか…?
どうすればあなたは俺を認めてくれるんですか!!」
「っ…」
「…分かりますか?毎日こうして会いに来て、
会いたい本人には1度も会えずに体に傷作って
やるせない気持ちで家に帰る俺の気持ち。
あなたを突破しても、俺を犯人だと思い込まされてる
看護師達に冷たい目で冷たい対応で追い返されて、
あなたに蔑んだ目で笑われる俺の気持ち」