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金木犀
第1章 prologue
航SIDE
「あーあ。あっくん、呼び出しなかったら
一緒に帰れたのになぁ」
「いいじゃん、今くらい。
お前いつでもあの人と一緒じゃん」
「当たり前じゃん!付き合ってるんだもん」
そう話す、隣で歩く俺の幼なじみ…
結衣は、幸せそうに微笑んだ。
その可愛い笑顔に、俺の胸がちくりと痛む。
「…、あの人さ、名前何つーんだっけ。
お前いつもあっくんあっくん言ってるから
本名忘れたんだけど」
「もー、あたしの未来の旦那さまだよ?
覚えておいてよっ!忍くんだよっ」
「…あずみ?」
「うん!あっくん〜」
あずみなんて名前、なかなかないよな。
しかも、忍って書いてあずみ。
読めるかっての。
「しのぶ、って呼んだら怒るんだぁ。
お仕置きされちゃうの」
「何だよお仕置きって。やらしいな」
「なっ!…っ、…っゃ、やらしくないっ」
…やらしいことされてんだな。
小さな顔を真っ赤にして俺の肩を叩く
結衣を見下ろして思う。
そのお仕置きの内容、教えろよ。
俺の思いに気付かないお前に、
同じお仕置き倍返しにしてヤってやる。
物心ついた時からずーっと隣にいて、
ずーっと大好きだった幼なじみ、結衣。
毎朝、俺を起こしに来て。
一緒に学校まで歩いて。