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金木犀
第2章 出会い
愛歩SIDE
「…あっ」
ハッと我に返って辺りを見渡し、
慌ててスマホを取り出して時計を見て、
針の指す時間に驚いて目を見開く。
「…っ!やば…っ」
21時半!?
まだ補導されるような時間じゃない…けど、
すぐに帰らないと。
歩いている内に、無意識に
繁華街に来てしまったらしく。
しかも、結構ヤバい感じの店がちらほらあって、
露出の凄い女の人やチャラチャラした男の人が
寄り添って歩いてたり、集団でいたりする所…
とっさに踵を返して走り出したあたし。
そんなあたしを見た男が、
周りの男に目配せしていた事に…
当然気付く訳がなかった。
街の喧騒から離れ、住宅地が並ぶ、
あたしの家の近くまで歩いてきた。
…怒られる、だろうなぁ…
マナーモードにしてあるスマホがさっきから
ひっきりなしに着信を知らせていて。
誰からの着信かなんて、見なくても分かる。
お兄ちゃんだ。
あたしに異常な執着心を見せるお兄ちゃんは
色々としつこく構ってきてて。
あたしの両親は割と開放的で、あたしが吹奏楽部で
練習が終わるのが遅いのもあるから門限は緩いけど、
お兄ちゃんは違う…とにかくしつこい。
彼女さんとかにもそんな態度とってないよねー?
いるって話聞いた事ないけど…