パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 愛はやさしくない

　――その夜、俺は声を聞いた。


　あたたかい、揺りかごのような、まだほの暗い世界で。


『やっと私、あなたのものになれたんだね』


　耳元で、ぼんやりと響く。


　その声は、世界で一番いとおしい音をしていた気がした。


　俺はなんて言えばいいか分からなくて、ただそっと前に手を伸ばす。


　指が、待ちわびた何かに触れた。やわらかくてあたたかい。それは間違いなく俺が求めていたものだった。


　俺は、それを抱きしめた。できるだけ、優しく。