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はじめてをきみに
第1章 きみの名前を呼ぶ

「ひゃあっ!」


なんの前触れもなくうなじに甘く噛みつくと、先輩が声を上げて飛び起きた。


きっとこんなところに噛みつかれたのは初めてだったんだろう。かわいい。


噛んだところをぺろりと舐め上げたら、先輩がふるふると体を震わせた。


「ん、なに、」

「先輩、したいです」

「っ」

「だめ?」


うしろから、耳元でささやく。


先輩は耳まで真っ赤にして、黙ってうつむいている。


「……優しくするから」


そう言って頬にキスをしたら、先輩がおそるおそる振り向いた。


潤んだ瞳で、じっと俺を見上げる。


「ほんとに、やさしくしてくれる?」

「はい」


返事を聞いて、先輩はまた、前へ向き直った。そして、「……なら、いいよ」と、小さな声でつぶやいた。


俺はそれが、うれしくて、いとしくて。


「先輩、こっち向いて」


また、おそるおそる振り向いた先輩の唇に、できるだけそっとキスをした。



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