この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
はじめてをきみに
第1章 きみの名前を呼ぶ

「先輩、はじめて、なんですよね?」
「……うん」
そうだろうと思いつつ、やっぱりおそるおそる尋ねた。
先輩が頷いてくれて、ひとまず胸を撫で下ろす。
「翔太は、はじめてじゃないんだよね?」
「えっ」
撫で下ろしたそばから、ぎくりとした。
なんて答えるのが正解なんだろう。と、悩んでいるこの沈黙が、もはや答えなわけで。
俺は、ぜんぶ正直に言うことにした。
「うん、はじめてじゃない」
「……だよね」
「でも、こんなにどきどきしたり、興奮したりするのは、先輩が初めて。めちゃめちゃにしたい気持ちと、死ぬほど大事にしたい気持ちが矛盾して、わけ分かんなくなるくらい好きになったのも、先輩が初めて」
「……ほんと?」
「ほんと」

