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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり


アパートまでの道を、とぼとぼ歩く。


ふとスマホを見ると、遼平からの着信が何件か入っていた。掛け直さずにポケットに入れる。


遼平とは、小中高大と同じの、もはや腐れ縁みたいな幼なじみだ。


まあ、あとから、高校と大学は遼平があたしを追いかけてきていたと知ったのだけど。


実家が隣で親同士も仲が良くて、遼平とは姉弟みたいな感覚だったから、大学進学のためふたりして家を出るとき、告白されたのには本当に驚いた。


最初は、断ろうと思っていた。だって弟感覚だし。恋愛対象として見たことなかったし。


……でも。


「大学に合格してたら、告白しようって決めてた。亜衣が好きです。一生大事にするので、おれと付き合ってください」と言って、精一杯あたしの手を握る、真っ赤な彼を見たとき。


あたしは、思ってしまったのだ。理屈ではなく、本能で。


この人を好きになりたい。

この人と、ゆっくり、じっくり、恋をしてみたいって。



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