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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

「――でもさすがに限度あるよね。ゆっくりじっくりって言ってもさ」
回想終了。あたしはぐちぐち独り言ちながら、スーパーに寄って、カゴに大量の缶ビールを放り込んでいく。
実家を出てこっちに移ってきて、しばらくはそれぞれ一人暮らししながら、お互いのアパートを行き来する関係。
その間も、お互いのアパートに泊まることは何度もあった。のに、そういうことは一切ナシ。
抱き合っても、ちゅーしても。
馬鹿みたいに酔ったていで、下着姿になって寝たふりしても。
彼は真っ赤になってあたしから目を逸らして、「そんなのだめだって」とつぶやくだけ。
これじゃ埒があかない、と、彼を説得してあたしのアパートで同棲を始めて早3か月。
いまだに埒はあかないままだ。なーんの進展もない。

