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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

「わああああ!」
遼平が、今日何度目か分からない叫び声を上げる。
「なんつーもん飲んでんの! てかなんで泣くの! そんなにおれの不味かった!?」
「おいしくはないよぉ……」
「ですよねごめん! いま水持ってくるからちょっと待って!」
……ってそうじゃなくて。
今にも台所へ飛んでいきそうな遼平の手を掴んで引き留めた。
あふれる涙を拭って、彼をまっすぐ見つめ、尋ねる。
「遼平、気持ちよかった?」
「え!?」
「気持ちよかった?」
「そりゃ、まあ、うん……。気持ちよくないとあんなに出ないというかなんというか……」
ゆでだこのような顔で答える遼平の言葉に、心底ほっとする。
「よかった……」
「え?」
「ぜんぜんしてくれないから、あたしじゃ勃たないのかと思ってた……」
言ってるうちにまた涙が出てきて、あたしはひっくひっくと子供みたいに泣きじゃくった。
泣いたのなんて、いつぶりだろう。
涙の止め方を思い出せなくて、次から次へとあふれるそれを、ただただ手の甲で拭う。

