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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

「だから、亜衣じゃ、た、勃たないとか、そういうんじゃない」
「うん」
「むしろ誘われるたびにビンビンだった」
「そこまでは聞いてない」
「あっ、ごめん」
ぷっ、と吹き出してしまった。
――あたしの負けだ。
超がつくほどのヘタレだけど。優柔不断だけど。あたしの価値観じゃあり得ないほどシャイだけど。
でも、そういうところもぜーんぶひっくるめて、遼平だな、と思えてしまう、あたしの負けだ。
「遼平!」
あたしは、仕切り直すように大きな声で名前を呼んだ。遼平が少し体を離して、あたしの顔を見る。
「ん?」
「あたしのこと、好き?」
「……うん、好き。大好き」
「なら良し!」
いい返事だ。あたしは満足して、ぶちゅーっと彼の唇にキスをした。
ヘタレがなんだ。優柔不断がなんだ。シャイがなんだ。それでも好きなんでしょ。ならしょうがない。それはきっと愛だ。
振り回しながら、振り回されながら、それでもいけるところまで愛し抜いてやる。

