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はじめてをきみに
第2章 据え膳が前のめり

「遼平」


あたしは、遼平と繋いでいた手をほどいた。そして、衝動に従って、両腕を彼の首に回した。


「わっ」


突然引き寄せられてバランスを崩した遼平が、驚いて声を上げる。


「亜衣?」

「今度は、あたしが好きなキス、してもいい?」


欲望のまま囁いたら、自分のものとは思えないほど甘やかな声が出た。濡れて揺れる瞳を、じっと見つめる。


――早く欲しい。


「……口あけて」


あたしの言葉にいざなわれて、まるで魔法にでもかかったように、遼平の唇が少し開いた。


ぼんやりと潤んだ彼の目を見つめたまま、あたしは自分の唇を、目の前のそれに押し付けた。



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