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はじめてをきみに
第1章 きみの名前を呼ぶ

「す、すいません、つい」
「う、うん、だいじょうぶ」
と言いながら、先輩はもうへろへろになっていた。唇から垂れた唾液を慌ててぬぐう。
あーー、初っ端から暴走してしまった。余裕ない。ださい。俺。
「ごっ、ご飯! 夕飯はもうどっかで食べてきた?」
俺が落ち込んでいるのを察してくれたのか、先輩が珍しく声を張り上げて訊いた。
「……まだです」
「私も。どっか食べに行く?」
「……先輩の手作り料理が食べたいです」
だめもとでおねだりしてみた。
すると先輩は、ぱちぱちとまばたきを何度かしたあと、しょうがないなあ、というふうに眉を下げて笑った。
「いいよ。じゃ、一緒に食材買いに行こう」

