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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
私はふらつき、キッチンのカウンターに掴まった。
花野は器用な手付きでオレンジの皮を剥いて皿に盛り付けながら、何でもないような口調で続ける。
「取り敢えず、何日間か学校をお休みしたいそうよ。
剛さん、成績の方は心配ないし、体調が良くないなら無理させない方がいいしね。
学校の方にそうやって連絡しておいてね」
「……で……でも……」
声が震えていた。
私が彼に取った態度。彼との関係がこれ以上深みに嵌まる前に終わらせなければ――と思ったから、彼に冷たくした。
でも、彼の異常な生育歴を考えたら、私のやり方はまずかったのかも知れない。
いきなり突き放されて、ショックを受けない人間がいるだろうか。
恨まれても何でも、突き放す事が彼の為になると思っていた。
でも、私は自分の事しか考えていなかった。
彼がどれ程戸惑い、ショックを受けるのかまで頭が回っていなかった。