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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
「剛さんは……」
「うちに居るわよ。
お父さんが張り切っててね。剛に盆栽の手入れを教えてやるとかウキウキしてるわ。
私達もたまには剛さんと話したいと思っていたの。
貴女も、この機会に祐樹とゆっくり過ごしてみなさい。あの子もね、悟志さんがああなってから元気には見えるけど、実は寂しがってるわ」
「……」
祐樹はもうすでに学校へ行ったらしい。
二人の居ないリビングがとてつもなく広く寂しくて思わず泣きそうになる私に花野は熱いお茶を淹れてくれた。
「祐樹がね……泣いてたのよ」
「え……」
「倒れてる剛さんの背中を一生懸命擦ってたわ。
……なんか、喧嘩というか……祐樹が一方的に剛さんに何か言ったらしいわ」
「祐樹が?」
「何だったのかはわからないけど、祐樹が気にしてたわ。
剛がこのまま目を覚まさなかったら困る、ママが悲しむ……って」
「祐ちゃん……」
胸が痛くなった。
私は本当に自分の思いに振り回されてばかりで、祐樹の精神的な負担まで考えてあげていなかった。