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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
「……っ」
とうとう涙が溢れてしまい、掌の中の湯飲みにポツリと落ちた。
自分が情けなくて恥ずかしかった。
剛を引き取った時に、どんな事があっても自分の気持ちを押し隠すと決意したのに、自分を抑える事も彼を押し止める事もできなかった。
悟志にも疑われて、あんな事になってしまって……
揚げ句の果てに森本に脅されて身体に触れられ、まだ彼がどういうつもりでいるのかもわからないままだ。
今更、軌道修正は無理なのだろうか。
私は、剛との恋を終わらせる事しか頭になかったが、その後の事までは何の策も方法も思い付かない。
悟志も回復するのかも分からず、このまま一緒に剛と一緒に居たら、また彼の腕の中へと堕ちてしまうのではないか。