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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
電話の向こうからも溜め息のような息遣いが聞こえて、私は現実に引き戻される。
(いけない……こんな時に考え事なんて……)
「……え……えっと……この間は……私……っ」
『――菊野さん泣いてるの?』
「……っ」
『声が変ですよ。
……僕がそんなに怖いですか?
まだ、何も言ってないのに泣いてるなんて……
は――……でもそっかあ……そうですよね……』
私はまた混乱する。
彼は、一体どういう意図で電話をしてきたのだろう?
取引を持ちかけてきたのは彼なのに。
彼の目的は――私の身体の筈なのに……