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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕



『……こんな風に言っても無理でしょうけど、僕をあんまり怖がらないで……
ショックですよ、結構ね』


彼の声色は、冗談か本気なのか判断しかねた。

私は、何だか頭に来てしまいつい怒鳴ってしまう。


「あ……あんな事をしておいて、よく言うわねっ!
エッチ――!チカン――!!」



また何秒か間が空いて、彼の爆笑が聞こえた。



『あっははは……エッチ、チカンって……あ――本当に菊野さんは何を言い出すか予想がつかないっていうか……
ウケるな――!ははは……』



私も、怒鳴ったそばから、もっと他に上手い言い方をすればよかった――と後悔していた。

思い切り笑われて、悔しくて恥ずかしい。

いたたまれなくて、


「……もう、今日は寝るので切ります!」


と言って切ろうとしたが、彼が少し慌てたように「菊野さん」と呼ぶのが聞こえた。





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