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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
「ふふ……それはね……祐ちゃんが可愛いからお兄さんはそういう言い方をしたのよ」
「ぶ――!可愛いとか言われても嬉しくないよ!!」
祐樹はキッチンのカウンターに頬杖をついて唇を尖らせる。
私はピザの箱の蓋を開けて皿を取り出そうとするが、祐樹の言葉に手を滑らせそうになった。
「ああ――俺も剛くらい背が高くなりたいな――
そしたら、剛がするみたいにママをギュウってするのに――」
「――っ」
「あいつ、朝とかガッコから帰ってきた時とか挨拶みたいにママに触るだろ」
思わず祐樹を振り返ると、彼は無邪気な笑顔でピザを掴み口へ持っていく。
「剛さ、本当のママにギュウてした事もされた事もないんでしょ?
だから、そのくらいは仕方がないかなあ、て俺も目を瞑ってたんだ」
「……っ祐樹……」
「ママ、なんて顔してるのさ――
俺怒ってないよ?
ちょっとヤキモチ妬いてるだけ。
でもさ、パパがもしあんな所を目撃したら大変な事になるからね?
気を付けないと」
「う……う、うん、そうね」
嫌な音で烈しく動く胸が痛い程だったが、笑ってやり過ごすしかなかった。