この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
清崎は一瞬唇を歪め俯くが、森本の胸を指で軽く押し、低く言った。
「――今度こそ、決めなさいよね」
「んん?決めるって?」
「逃げないでよね――彰」
彼女の瞳の中の、ほの暗い焔に彼が気圧されて口をつぐむと、彼女は彼を見詰めたまま家の中へと入っていった。
ふう、と溜め息を吐いてリビングの方向へ顔を向けるが、両親はまだ帰っていないようだった。
――別に、どうでもいい。
心の中で吐き捨てながら二階へと上がり、自分の部屋へ入りベッドへ倒れ込んだ。
烈しく抱かれた気だるさを持て余すように、自分で自分の身体を抱き締める。