この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
彼は、他の男子には決してない優美さと危うさ、鋭さを持っていた。
物静かに見えるその瞳を、こちらに振り向かせたい――
そう思って彼に憧れるのは自分だけではなかった。
入学式の時から、彼の姿は周囲の注目を浴びていた。
彼の姿の美麗さに加えて付き添っていた若い母親――
彼女は、母親には到底見えない若さと可憐な姿だった。
姉と弟、とも違う二人の間の空気に、清崎も不思議に思い、また魅せられたかのように見詰めてしまった。
桜が舞う中、あちらこちらで記念撮影をする親子と同じように二人も写真を撮ろうとしていた。
「晴香、この辺でどうかな?」
「ここだと逆光じゃないの。あっちの方が良いわ」
両親がカメラを手に右往左往する中で、清崎は剛達を目で追っていた。