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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕
「おお!この桜が一番綺麗に咲いてる!ここで三人で撮ろうか」
「そうねえ、晴香、こっちに来なさい」
笑顔の両親に手招きされるが、彼女は褪めた思いで彼らを見た。
――なにが、三人で――よ。
最初は母親が始めた小さな喫茶店が、今や地元で知らない人はない有名レストランになってしまい、他にも支店を出そうかという事にもなっていて、二人は多忙のため殆ど家に帰ってこない。
今、店がここまで大きくなったのは、母の古い友達が資金を協力したからだ。
母の店が潰れそうになった時、友達という男性が手を差し伸べたらしい。
男性は母を昔から思っている同級生だった。
母も憎からず男性を思っていたが、父を選んだらしい。
だが男性の方は、未だに母を思っていて、母の窮地を救うべく取引を持ちかけたのだ。
つまり、男と女の関係を。