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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕


――いっその事、今ここで舌を咬みきって死んでしまえばいいのだろうか。

いつまでこの馬鹿馬鹿しい茶番に付き合わなければならない?

私が結婚するまでだって?

誰かと結婚すれば、パパとママの演技を見なくて済むようになる?

でも、私は男の子なんて嫌い。

皆、いやらしくて乱暴で頭が悪くて……




彼女は、優等生の顔を周囲に見せながらも、胸の内は鬱々と曇っていた。

だが、中学で剛を一目見て心を奪われた瞬間(とき)、彼女には生きる目的が出来た。

剛を振り向かせ、自分に夢中にさせる、という目的が。



(私は、自分が本当に好きな人と一緒になる。
私は絶対にパパとママのようにはならないんだから――)



大人しい、可憐な少女の瞳の奥底では、したたかな焔がちらちらと燃えていた。


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