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愛しては、ならない
第41章 更に抉られる、傷痕②
彼女の事だから、きっと俺の言うことや要求に総て応えようと頑張るに違いない。
俺も、一度彼女に寄り掛かれば、際限なく彼女を貪ってしまい、ボロボロにしてしまうだろう。
菊野を愛している。心も身体も、彼女の総てを。
つれない態度を取られても、何処かでまだ期待して信じている自分がいる。
きっと、彼女は揺れ動いているだけだ、もう少し時間を置けば、また俺の腕の中に飛び込んで甘く恋を囁いて、俺を蕩けさせてくれるのではないか――
等と考えてしまう。
こんな風に思っているのは俺だけなのかも知れないのに。
俺はつくづく救いようのない馬鹿だ。
折角気分がマシになってきたのに、また忌々しい靄が胸の中に生まれる。
それを打ち消すように、俺は清崎の笑顔を思い浮かべながらメールを開き、そして顔の筋肉が硬直する。