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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
『お母さん……』
『剛さん自身の気持ちを一番に考えましょう。
もう少し体調が落ちいたら、これからどうするのか考えて決めましょうね』
『……あ……あの……』
ドアに手を掛けて、花野は振り返る。
『あ……色々ありがとう……ご……ごめんなさい……』
また泣きそうになるのを唇を噛み堪え、やっとの思いで言ったが声が震えていた。
ふわり、と暖かい感触が頭に触れた。
花野は、小さな子供を見るような目で私を見て、頭を撫でていた。
『いいのよ。剛さんの為に……皆の為にどうすればいいか、私もできる事はするから……
貴女も頑張りなさい』
『う……うん……っ……うう……っ』
『ほらほら、泣いてばかりじゃ悟志さんも流石に呆れるわよ?』
『う……うん、ありがとう……お母さ……』
花野は、苦笑しながら病室を出ていった。