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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
「……もっ……」
彼を思いきり怒鳴り付けたい衝動に駆られるが、言葉が出てこずに絶句し、俯くと涙が溢れた。
彼が目を見開いているが、溢れた涙を止める事が出来ずに私はしゃくりあげる。
腹が立って、情けなくて仕方がなかった。
私のやることなすこと全てが裏目に出て、皆を不幸にしているような気がする。
何とかしたいのに、剛の事も、悟志の事も、悲しませたい訳ではないのに、何をしたら良いのかもわからない。
私は戦慄(わなな)きながら、彼の靴の先を睨み言った。
「何よっ……そうして、私をからかって……
脅してみたり、おかしな事を言って混乱させたり……
わ……私がどんなに悩んでるか、知りもしないくせに!」
最後のほうは感情が昂ってしまい言葉にならなかった。
言い終える前に、目の前が彼のシャツの赤色で覆われる。
私は、彼に強く抱き締められていた。