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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
「……私だって……こんなの……いやっ…」
「菊野さん……っ」
「剛さんが……好き……好きなだけ……なのにっ……」
「……」
私は、彼の胸を滅茶苦茶に叩いて暴れしゃくりあげながら言葉をぶつける。
彼は、私の拳が頬に当たっても僅かに眉を寄せただけで何も言わず、尚も私を包むように抱き締める。
「バカっ……バカあ……っ!
あなたなんて……大嫌いっ……」
「菊野――」
両手を捕まれて、彼に唇を塞がれ私は叫べなくなる。
もう抵抗する力も残っていない私は、唇を塞がれたままで彼のシャツを掴んだ。
それは、情欲からではなく、私を落ち着かせる為だったようだ。
エレベーターが到着してドアが開くと、彼は顔を離して小さく
「ごめんね」
と呟いた。