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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
「……っ」
素直な彼の表情に何も言えなくなり、そして、仮にも大人の私が15歳の子供の前で取り乱してしまった事や、彼にキスされた恥ずかしさに身体中が熱くなった。
彼は私の手を引き、いつの間に呼んで居たのか、マンションの前に付けてあるタクシーの運転手に手を挙げる。
後部席が開き、彼は私に乗る様に促した。
「警戒しなくても大丈夫だよ。変な所に連れ込んだりしないから」
彼に軽く背中を押される様にして身を屈めて乗り込んだが、後ろで咳払いが聞こえて怪訝に思っていると、彼の手がいきなりスカートの裾を掴んだ。
「な……何をっ」
「も――、乗り降りには気を付けないと!思いきり捲れてたよ!」
「――う、うそっ」
彼はスカートを直すと隣に身軽な仕草で腰掛けた。
ふんわりと優しい香りが鼻腔を擽った。
彼に以前乱暴されそうになった時には気付かなかった香りだった。