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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……
すると彼の軽やかな笑い声と共に、私は手を強く引かれて車から降ろされた。
タクシーは走り去り、午後の陽射しを直に浴びて眩しさに手を翳すが、着いた場所の意外さに私は口をポカンと開けた。
そこは遊園地だった。
しかも、いわゆるテーマパークではなく昔からあるようなローカルな遊園地。
「ま……待って、森本くんっ」
「菊野さん、こういう場所嫌い?」
「嫌いじゃなくて……絶叫系とか怖いの以外なら好き……だけど……」
「はは、やっぱりそうなんだ。か――わいいなあ」
彼は手際よくGパンのお尻のポケットから財布を出して切符を買い、一枚を私に握らせると素早く肩を抱いて歩き始めた。
可愛らしい動物の親子のイラストが描かれているゲートを通り、彼は園内を見渡して
「さて、何に乗りましょうか」
と、声を弾ませた。