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愛しては、ならない
第44章 こわれる ②
何日も離れて居ないのに、とてつもなく久しぶりに彼女に会ったような気がした。
彼女と会わないで居れば心が乱れる事もないと思っていた。
その筈だったのに、清崎からのメールを見ただけで猜疑心と嫉妬で翻弄された。自分を見失うほどに――
不安定になり食事も受け付けない俺を心配した花野が、病院から連絡が来た時に
『剛さん……菊野と祐樹に会うのは辛いんじゃないかしら……』
『そうだな、体調も悪いし、無理させない方が……』
祖父の貴文と小声で話し合っているのが聞こえた。
だが俺は敢えて行くことにした。
菊野に会ったら、森本との事を問い詰めてやりたかった。
一方的に突き放され、俺がどんな思いでいたのかを教えてやりたいと思った。
だが、彼女をこの目に映した途端、焼けつく程の痛みを伴う恋情で息ができなくなってしまった。