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愛しては、ならない
第44章 こわれる ②
一度はなんとか落ち着きかけた気持ちが、またざわめき始めてしまい、皆がいる中だろうがなんだろうが、彼女を問い詰めたくなってしまう。
俺の真っ直ぐな視線に彼女は気づき、益々頬を染めた。
――ほら、貴女の気持ちは、まるで謎だ。
散々俺を惑わせて狂わせて、まだ足りないのか?
もう、いい加減にしてくれ。俺の事が要らないのなら、そう言ってくれ。
そして、もうそんな目をしないでくれ。
でないと、俺は――
「……菊野……さん」
「――っ」
俺が彼女に向かって一歩歩み寄ったその時、病室の扉が開き、看護師が顔を出した。
「お待たせしました……どうぞ皆さん、会ってあげて下さい」