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愛しては、ならない
第44章 こわれる ②



「剛――!?」



俺の叫びが聞こえたらしく、祐樹が病室から出てきたのが視界の隅に見えたが、俺は振り返りも立ち止まる事もせず廊下を走り抜け、階段を下った。

途中何人かとすれ違ったが、ぶつかりそうになりながら全速力で駆け降りる。

一番下まで行き着いて角を曲がった時に何かに衝突して、聞き覚えのある声がした。



「きゃっ……」

「す……いません……」



動悸を宥める事も出来ずに頭を下げると、目の前に立ち尽くしているのは夕夏だった。

手には売店で買い込んだらしい袋を幾つも持ち、目を丸くしている。


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