この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第44章 こわれる ②
「剛――!?」
俺の叫びが聞こえたらしく、祐樹が病室から出てきたのが視界の隅に見えたが、俺は振り返りも立ち止まる事もせず廊下を走り抜け、階段を下った。
途中何人かとすれ違ったが、ぶつかりそうになりながら全速力で駆け降りる。
一番下まで行き着いて角を曲がった時に何かに衝突して、聞き覚えのある声がした。
「きゃっ……」
「す……いません……」
動悸を宥める事も出来ずに頭を下げると、目の前に立ち尽くしているのは夕夏だった。
手には売店で買い込んだらしい袋を幾つも持ち、目を丸くしている。