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愛しては、ならない
第45章 小さな逃避行
彼女はクスリ、と笑い首を傾げて軽い調子で言う。
「あ――それとも、西本君、私の美脚にムラムラ来ちゃった?
な――んて!」
「……まあ……そんなところかも知れない」
「やだ――!サラッとそんな風に返されたらドキドキしちゃうよ!」
「いや、本当に気を付けた方がいい」
「……?」
彼女は真顔になり、眼鏡の奥のつぶらな瞳を真っ直ぐに向けてくる。
「もう暗いし……そんな時間に女の子がそんな格好でいたら、変な男が……」
「明るい時間ならいいの?」
「いや、だから」
「ふふ、西本君が心配してくれるから、今度から気を付けるよ」
「……」
俺は彼女の舌足らずな声に不思議な心地好さを感じながら、彼女に降りる様に促す。
「俺が運転する。岬さん後ろに乗って」