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愛しては、ならない
第45章 小さな逃避行
腰を抜かしへたり込む真歩に
「先生……すいません!」
と叫び、俺は速度を緩めずに走った。
「えっと、つまり、私が西本君を誘拐した事になるのかな」
後ろで彼女が何処か呑気な口調で呟いている。
「いや……ごめん、岬さん、本当にごめん」
「いいよ。私ね、一度西本君とゆっくりお話してみたかったし、何だか嬉しいかも」
「俺と話――?
面白い事なんて、何にも言えないけど」
「いいの、何でも」
彼女はそう言うと、頬を背中に擦り付けてきた。