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愛しては、ならない
第45章 小さな逃避行
「だからっ!私がこうして西本君と二人きりで夜部屋に居る事!
清崎晴香ちゃんにバレたら!」
彼女は凄い剣幕で俺に掴みかからんばかりの勢いだった。
俺はただ頷いて彼女に逆らわないように心掛ける。
「……あの子が嫉妬したり疑ったりして、お二人の中に亀裂が入る様な事になったら悪いなあ――って」
「……うんうん」
「うんうんじゃないわよっ」
「えっ……?な、何でっ」
夕夏は俺の肩に手を掛けて、熱い眼差しで――いや、怒りに燃える目と言った方が正しい――
刺すように見ながら舌足らずに言った。
「――西本君のあの気のない返事!
あの言い方じゃあ、まるで私が問題外っていうか、はなから対象外って言われてるみたいで腹が立つし、感じ悪いわよ!」
「ええっ……そ、そう?」
「ま、まあ……そんな事言ったって実際にそうなんだろうけど……」
夕夏は急に頬を赤らめると、先程までの怒りまくった表情が嘘の様に消えて、俺から手を離してプイと顔を背けた。