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愛しては、ならない
第46章 小さな逃避行②
「私が学校から帰ってきて……着替えようとしてる時に合鍵で入ってきたの」
「……?」
話の雲行きが怪しい気がして、俺は彼女の肩を抱いた。
彼女は仔猫のような仕草で頭を腕に擦り付ける。
「ママが仕事か何かで居なくて……私、その人と二人きりになるの初めてだったし、あんまり好きな人じゃなかったから……嫌だなあ、て思った。
ママは夜にならないと帰って来ないけどって言ったら、その人……
分かってるって。だから来たんだよって言ってた」
淡々と語る彼女の横顔を見詰め、俺は呼吸の音を立てるのさえうるさいのではないか、と思い、息を殺して居た。