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愛しては、ならない
第46章 小さな逃避行②
「何か怖い事があったら叫べって言うじゃない?でも、実際そう言う訳にはいかないのよ。
第一、このアパート付近って付き合いもないし、何か聞こえてきたとしても関わり合いになりたくないから、皆知らないふりするわよ。
それに下手に騒いで逆上されたら、犯されるだけじゃ済まされないかも知れないじゃない?」
彼女はそこで一息ついて、続けた。
「そいつ興奮してズボンのベルト外して、アレを出したのよ」
「アレって……つまり」
「そう。西本君にもついてるアレね」
「……」
夕夏は嫌悪する様に眉をしかめた。
「うち、お父さん居ないし、男の人のそう言うの見たこと無かったから……そりゃあショックだったわよ。
気持ち悪いし怖いし、でもどうにかしてこのピンチを何とかしなきゃって思って」
彼女はそこで机のスマホを指差した。
「でね、私そいつに、あなたのそれを撮らせてって言ったの」
「撮るって――」
唖然とする俺に、彼女は小さく笑った。
「それしか思い付かなかったの」