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愛しては、ならない
第46章 小さな逃避行②



彼女の舌足らずな声が震えた。



「……精一杯演技したわよ……失敗したらおしまいだって思って必死だったわ。
私、男の人が自分でしてるところを見たことがないの、お願い、見せてって……
見せてくれたら、やらせてあげるからって言って……騙したの」



静かな部屋には、夕夏の幼い声と緊張した俺の息遣いだけが響いていた。




「そいつ、疑いもせずに私の目の前で……
始めたわ。私によく見える様にって、大きく手を動かして……」

「夕夏」



彼女の手を握り締めると、彼女は深呼吸して天井を仰ぐ。



「そいつが、イクだの、早く君にぶちこみたいだの大声で叫びながら興奮して、それをぶちまけた時に、私は思いっきり奴の腹に蹴りを入れて、
部屋から飛び出したわ……
一目散に、一番近い交番に駆け込んだの」




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