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愛しては、ならない
第46章 小さな逃避行②
「……頑張ったね……怖かっただろう?」
俺が、微かに震える彼女の頬を両手で包み込むと、彼女は震えながら笑う。
「夢中だったの。後の事なんて何にも考えてなかった……
でもその後がもっと大変だったの。奴はすぐに逮捕されて……でも、私が起訴しないって事にしたから、釈放されたの」
「その後で……嫌がらせされたりとかしたのか?」
「ううん……それは無かったから……ていうか、その人はもうそう言う事もできないから」
「……?」
「そのも人ね、バンドマンで、知る人ぞ知るバンドのギタリストだったの。
東京のほうじゃ、結構人気あったみたいなの。
ママも、ライヴに行ってギターを弾いてる時のカッコ良さに惚れちゃった、て言ってたわ。
そんなに大きな会社じゃないけど、メジャーデビューも決まってたの。
でも、その矢先にこの事件でしょ?起訴はされなかったけど……私が撮った動画が……なぜか流出して……
ネットで拡散されて……」
彼女はそこで声を詰まらせ、唇を噛んだ。