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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
だが、彼女に紳士的に振る舞ったつもりでも、結局今、燻った欲を清崎の身体を使って晴らそうとしている。
――最低だ……自分は、人の振りをした獣なのかも知れない。
菊野を、自分の愛撫によって絶頂に連れていく事によって、彼女を一時でも精神的に開放してやるつもりだった。
だが、それは違う。
そうやって理由を付けて、菊野の身体に触れたかっただけだ。
彼女の柔らかく美しい身体を、つかの間でも自分の物にしたかった。彼女を快感で支配して、思うように啼かせたかった。
菊野の最も美しい瞬間を、この腕で包みながら見たかっただけだ。
彼女を思ってした事などと、よくも言ったものだ。
「晴香……っ……僕……は……外道なんだ……」
清崎に熱い楔を思う様打ち付けながら、懺悔するかの様に彼は呻いた。