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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
「彰が、外道かどうかはわからないけど……
最低のスケベ野郎だってことは知ってる」
「うっわ……それもキッツいな――」
彼女の長い睫毛の奥で、深い闇を思わせる黒目が彼を真っ直ぐに捉えると、彼も呪縛をかけられたかの様に身動きできなくなる。
思うように動かせるのは口だけだ。
「ねえ……晴香ってさ……」
「なあに?」
彼女は可憐に微笑み、彼の喉仏に触れた。
彼はピクリ、とその部位を痙攣させ、呟いた。
「晴香は、まるで魔女だね」
「ふふ……なあに?それ?
それって……今流行りの美魔女?」
「いや……もっと怖い方の魔女……かな」
「酷いわね……」
彼女は、自分を抱き締める彼を軽く睨みながら、本当に魔女になれたら良いのに、と思う。
そうしたら、彼の心から菊野の事を消し去って、自分に夢中に出来るのに。
私こそ、剛を心から愛してるのに。