この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
――剛君が菊野さんと愛し合っていたって、何もプラスにならないし、どうにもならないじゃない、……
ふたりがいつから思いあっていて、菊野さんが剛君をいつから愛していたのかなんて知らないし、知りたくもないけど……
私だって……私だってずっと好きだった……
剛君を振り向かせる為に色んな事を頑張った……
私なら、何の障害もなく剛君と愛し合える。
剛君さえ、私を好きになってくれたら……本当に幸せになる自信があるのに――
清崎は、森本の胸の中で叶わぬ夢を見て、そして絶望に溜め息を吐いた。
本当は分かっている。人の心が簡単にならないことも。
森本が、誘惑目的で近付いた筈が菊野を愛してしまった事だってそうだ。
――私だって同じだわ……
剛君が菊野さんと思いあっていると知っていて、それでも私は彼に惹かれていった。
最初から望みの無いに等しい恋だって分かっていたのに、どんどん深みに嵌まってしまった。