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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
菊野は震える声で言う。
『真歩が……剛さんと居たのは、清崎さんとは別の子だって言うの……』
清崎は固唾をのみ、会話の行方を追う様に彼に身体をピッタリと付けている。
森本は、そんな彼女の肩を抱き寄せた。
「……剛に電話してみましたか?」
『……何度か鳴らしてみたわ……でも、出てくれないの』
「僕からもしてみましょうか?出るかはわかりませんが……」
『どうしたらいいか、分からなくて……
警察に届けたほうがいいんじゃないかって、父や母に言われたけど……
そんなに大事にしてもいいのかしらとも思うし……』
「う――んそうですね、一緒に居るっていう女の子が誰か分かれば……」
森本は、頭の中を一生懸命回転させた。
正直、自分が連絡を取ろうとしても彼が拒むような気がする。
菊野に興味を示していた森本を、彼が快く思うはずがない。