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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
――おお、怖い……
森本は、清崎の鋭い視線を受け流し、表情はいつもの飄々とした物に見えていたが、頭の中では剛と接点のある学校の女生徒は誰が居るのか、必死に考えていた。
全く見知らぬ女の子と何処かへ行く程、彼は人懐こくもないし、寧ろ彼は猜疑心が強いから、その一緒に居ると言う女の子は、彼がある程度信頼している人間なのかも知れない。
しかし森本も剛の交遊関係を全て把握しているわけでは無いのだ。
同じ学校の女生徒位しか思い当たらない。
「――そうだ……」
森本は、友佳の事を思い出した。
剛が学校を休む前に、皆と勉強会をしようという話になっていた。
結局それは、剛の欠席が長引いて居るために宙に浮いてしまっているが……
『森本君……?』
「菊野さん、僕、今から気になる所から当たってみます。
何か分かったら後で連絡します」
『あ、ありがとう……』
「菊野さん、無理かも知れないけど眠らずに剛を探すとか、朝まで泣くとかダメですからね。
そんなことしても直ぐに事態は変わりませんし。
今夜はさっさと寝てください。分かったことがあればメールしますから」
『森本君……でも……』
「言うことを聞いて下さい」
『……は……はい』
「じゃあ……菊野さん、お休みなさい」
『お休みなさい……森本君……ありがとう……』
彼女が電話を切るのを待って、彼も切った。