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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝
「さて……まずは友佳に連絡して――」
電話帳にタッチして彼女に掛けようとしたその時、清崎は鞄を掴み、出ていこうとする。
「晴香……何処へ行くんだよ」
「剛君をかくまった女を探しに行くのよ」
「……まだ誰のところにいるかなんて分からないだろ」
「同じクラスの女の中の誰かに決まってるわ……」
「落ち着けって……もう夜だし……危ないだろ?」
「落ち着け、ですって?」
彼女は爆発した様に叫ぶと、鞄で彼の胸を叩いた。
彼は顔をしかめ、尚も叩こうとする彼女の腕を掴む。
「晴香……分かるけど……興奮し過ぎだよ」
「分かる?あんたに分かるの?
どうせあんたは……あの女に気に入られて……あわよくばヤれればしめたものって思ってるんでしょ!」
「晴香っ」
パシン、という音と共に、清崎はよろめいて壁に凭れ頬を押さえる。
森本は自分の掌を見詰め、我にかえって呆然とした。
「……ごめん……晴香」
「やりまくりの上に……殴るとか……あんたって本当に最低!」
頬を押さえたまま、ぎらつく瞳を向けて彼女は吐き捨てる様に叫び、
出ていってしまった。