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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と
悟志に何度も抱かれて腕に包まれていても、胸の中に在るのは剛への熱くて切ない想い。
消さなくてはならないのは分かっている。けれど、今すぐには消えない。
そんな風なのに、このまま以前と変わりなく悟志の妻として生きていく事が、許されるのだろうか?
悟志は、そんな私の胸中を知らずに、優しい笑みを浮かべ、壊れ物を扱う様に頭を撫でる。
「菊野……おかしな事を言ってごめん……」
「……」
「……愛してるだとか、そんな言葉は強要されて言う物じゃあないよね……
菊野の方から言ってもらえる様な旦那様になるから……
僕、頑張るからさ……だから」
悟志は、そこまで言うと絶句して、私をキツく抱き締めた。