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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と
「悟志さ……」
悟志の表情が、全くピクリとも動かないのを見て、私の背中が凍り付く。
彼は私を抱いたまま、先程までの優しい笑顔のまま、固まっているかの様に動かなかった。
思わず息をしているのか確かめようと彼の口に手をあてようとした瞬間、断末魔の様な叫びが、彼の口から放たれた。
「悟志さん……っ……!」
悟志は私を突き飛ばし、ベッドからフラフラと飛び降り、床に座り込んだ。
側へ寄ろうとすると、彼は壁に両手を突き、獣の様に叫びながら頭を打ち付け始める。
「悟志さ……悟志さん……やめてっ」
彼は、私の声がまるで聞こえないかの様に、叫びながら頭を打ち付ける。
その額から血が伝い、白い壁が染まっていく。