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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
真歩は、口角を下げて溜め息を吐いた。
「あ――あ、何だか私、スッゴく痛い人みたい。片想いしてる人の幻とお喋りするとかさあ……
終わってるわね」
踏切が見えてきて、真歩は舌打ちした。
――昼間と違って夜は信号が長いから、通らない様にしようと思っていたのに。
だが今更方向転換も出来ないから、彼女はサイドブレーキを踏み、赤く点滅するライトを恨めしく見た。
病院での悟志の血色の良い顔色を思い出し、改めて安堵する。
一時はどうなる事かと思ったけれど、記憶が一部無くなっただけで良かった。
菊野はショックを受けているようだったけれど、悟志にとっては剛の事を忘れられて幸いだったのでは無いだろうか、と真歩は思う。