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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別



最初は、菊野の一挙一動に敏感に反応し、泣いたり笑ったりする彼が面白いだけだった。

けれど、一生懸命なその姿を見ている内に、真歩の胸の中には恋が宿ったのだ。



――私も、あんな風に想われたい……



そう思ってしまった。



そして、最初は小さい憧れに過ぎなかった想いは、真歩自身も気付かない内に大きく膨らんでいく。

あれは高校三年のクリスマスの夜だった。

その頃はクリスマスの日には、菊野の家でパーテイーをして泊まる、と言うのが恒例だった。

ただ、その年だけはいつもと様子が違った。

悟志も呼ばれていたのだ。

花野が腕を奮い、ローストチキンやオードブルを次から次へと出して、シャンパンやワインで乾杯し、貴文と悟志はサンタの仮装をしてクリスマスソングを歌って踊り、楽しく過ごしていた。





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