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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
それから、悟志が言う「対決」に使う紙人形を、菊野と真歩は一生懸命作っていた。
悟志と貴文は対決の前に謎の準備体操をしたり、ブツブツと呪文のように何かを唱えている。
『……何でこうなるの?』
菊野が不満そうに頬を膨らませて出来た紙人形を指で弾く。
真歩はクスクス笑い、18歳にしては幼い親友のご機嫌斜めな顔を見詰めた。
花嫁になるのが夢、とか言う癖に、男子とろくに口も聞けない、今時珍しい奥手な菊野だが、そんなところがかえって男の保護欲をそそるのかも知れない。
天然でそそっかしいところも、見ていて飽きなくて面白いと言えなくもない。
悟志は自分達よりも20も歳上だが、見た目は20代後半位に見える程若々しくてハンサムだった。
下手な若い男に捕まるよりは断然お買得だと思うのだが、菊野は「イマイチまだピンと来ないの」と言う。
それを聞いた時にはずっこけそうになったが、仕方がない事なのかも知れないとも思った。
ときめく気持ちと言うのは理屈ではない。
人に教えられる物でもない。