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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別
「……て……また西本家の面々の事を色々考えちゃってる私って……はあああ……んもうっ」
警報が鳴りながら何時まで経っても電車が通らないのに苛立ち、ハンドルを指で一定のリズムを叩きながら叫んだ。
悟志の事も、菊野の事も剛の事も、自分が云々と思い悩んだ処で、何も変わりはしないし、何も出来ないのだ。
そして、どんなに切なく悟志を思っていても、悟志が愛するのは菊野であることには変わらないし、真歩がもし不倫の割りきった関係を迫ったとしても、彼はそんな器用で卑怯な真似を出来る人ではない。
「そんな人だから、好きになったのよねえ……」
真歩は独り呟くが、ハッとして拳骨で自分の頭を叩く。
「って!もう吹っ切るって決めたのに、また痛い女になってるじゃない――っもうっ」